財政投融資制度改革の経緯

財政投融資は財政政策の一環として、有償資金を活用し、国の施策を効率的かつ効果的に実施する仕組みであり、その基本的役割は将来においても重要と考えられる。しかし、その一方で経済全体の成熟化、市場メカニズムの整備等に伴い、政府の役割の見直しが求められる中で、財政投融資を取り巻く環境も大きく変化してきているのも事実である。

 

このような中で、従来の仕組みについては行政改革等の議論において

 

  • (1) 郵便貯金、年金積立金が増加する中、これらの資金の資金運用部への預託義務が特殊法人等の肥大化、非効率を招いたのではないか
  • (2) 金利面で年金等の預託者側の財務状況への配慮により、調達コスト高の要因となっているのではないか
  • (3) 国からの補助金等の政策コストを十分に分析しないままに融資するという手法により、後年度の国民負担の増大を招いたのではないか

等の問題点が指摘された。

 

これらの問題に対処するにあたっては郵便貯金、年金積立金の全額が資金運用部に預託されるという従来の財政投融資のシステムを改め、「出口」の特殊法人等が政策を遂行する上で真に必要となる資金を市場から調達する仕組みに変える等の抜本的な改革を実施する必要があると考えられた。

具体的な改革の方向を巡って、平成9年11月以降資金運用審議会懇談会、行政改革会議、など多方面より検討・報告がなされた。これらを踏まえ、さらに有職者・関係者の意見も聞きながら、財政投融資改革案の作成に向け、政府部内で検討を続け、平成11年12月9日に政府(大蔵省)において、財政投融資改革の骨格を「財政投融資制度の抜本的改革案(骨子)」としてとりまとめた。

また、平成11年度秋には財政制度面からの問題点を専門的に議論するため、財政制度審議会法制部会において、財政投融資制度の改革に関する法制上の主な改正点等について審議した。

なお、財政投融資制度の改革の実施に伴う経過措置の内容については平成11年12月に郵政省、厚生省との間でその大枠が合意された。

その後、法案作成作業が進められ、「資金運用部資金法等の一部を改正する法律案」が平成12年3月7日に閣議決定の上、国会に提出され、5月24日に成立した。この法律は平成13年4月1日からの施行となっており、平成13年度の財政投融資計画から新しい制度の下で編成が行われる。