財政投融資制度改革について

市場原理にのっとった資金調達

特殊法人等は財投機関債の公募発行により市場の評価を受けることを通じ、業務の運営効率化へのインセンティブが高まる。このため特殊法人等はまずその資金等を原則として自己調達することを検討し、各機関は財投機関債の発行に向けた最大限の努力を行うとする。

ただし、財投機関債による資金調達では必要な資金需要を満たすことが困難な機関については①その業務が民業補完のために実際に必要なものか、②将来の国民負担を推計した政策コストの分析、③償還確実性、等を精査して、当該法人等の業務について、ゼロベースからの徹底した見直しを行うこととする。その上で、政策に必要と思われる場合、財投債によって調達した資金の貸付けを受けることになる。

財投債は財政規律を確保するため一般会計と区分経理した新しい特別会計において発行し、発行限度額について国会の議決を受ける。他方、発行・流通の仕組みは現行の国債・地方債証券等における一体発行の例や諸外国の実例、債券市場の効率性等に鑑み、現行の国債と一体のものとして取り扱う。

なお、政府保証債については財政規律の確保等の観点から、直ちに政府保証なしで財投機関債を発行することが困難な機関等について、個別に厳格な審査を経た上で限定的に発行を認めることとする。

市場原理の調和

財政投融資改革後は調達金利についても、市場に連動した条件で行うこととし、これまでのような預託者の事業運営に対する配慮としての金利上乗せを廃止する。また、貸付金利については基本的に貸付期間に応じ国債の市場金利を基準として償還形態も反映して設定し、10年ごとの金利見直し制も選択可能とする。

また、資産・負債管理(ALM)の充実を図ることとし、発行される財投債と融資のタイミングのずれを円滑に調整するため、融通証券を発行し、その発行限度額について国会の議決を受ける。

郵便貯金及び年金積立金の預託の廃止に当たっては中央省庁等改革基本法等を踏まえ、既往の貸付けの継続にかかわる資金繰りを確保するとともに、市場に与える影響に十分配慮し、激変緩和のための適切な経過措置を講ずることとしている。