現行「自己資本比率規制」(バーゼル3)の内容
「自己資本比率規制」は、基本的には金融機関の経営の健全性を図る指標であり、銀行法においては、内閣総理大臣が基準として定めたもの(銀行法第14条の2及び同法52条の25)となっている。
この「自己資本比率規制」は、1988年(昭和63年)導入以降、情勢変化に応じた見直し作業が幾度か行われ、2006年末(平成18年末)には第2次規制(バーゼル2)、さらに2013年(平成25年)から2019年(平成31年)にかけて段階的に第3次規制(バーゼル3)が実施されている。
バーゼル3は、金融危機の教訓を踏まえ、国際的に活動する銀行について、適切なリスク管理を促し健全性を確保するため、自己資本の質・量の向上を求める自己資本規制の強化等が合意されたものである。また、バーゼル3のポイントは、「自己資本の量の強化」、「自己資本の質の強化」であり、これらが「段階的に実施」されることである。
第3次規制となるバーゼル3の概要については、下記の添付ファイルをご参照いただきたい。
具体的な「自己資本比率」の計算式は、平成19年3月31日から、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定めれたら算式に基づいて算出されている。具体的には、下記の添付ファイルをご参照いただきたい。
銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成十八年金融庁告示第十九号)
※自己資本比率の算式の分母は「リスク・アセット」と表現され、リスクの度合により、算入する割合等が異なる。地方公共団体の発行する地方債のリスク・ウェイトについては、自己資本比率規制(バーゼル1)が導入された昭和63年、関係当局の判断により10%とされた。しかしながら、地方財政制度や地方債許可制度、交付税制度等による我が国地方債の安全性は極めて高く、同等の制度を採用し、地方債のリスク・ウェイトが0%となるドイツ、オランダ等と同様であるべきと考えられた。このようなことから平成5年に関係当局へ我が国地方債のリスク・ウェイトが0%とされるよう要望を行い、この結果、平成6年に改定され、現在のリスク・ウェイト0%(標準的手法)へと至っている。
リスク・ウェイト(標準的手法)
(銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成十八年金融庁告示第十九号)の「第6章 信用リスクの標準的手法 第2節 リスク・ウェイト(前掲のP82;平成29年6月現在)」より抜粋して記載
リスク・ウェイト | 主 な 項 目 |
---|---|
0% |
〇現金(外国通貨及び金を含む) 〇日本国政府及び日本銀行向けの円建てエクスポージャー(与信額)のうち円建てで調達されたもの 〇我が国の地方公共団体向けの円建てエクスポージャー(特定の事業からの収入のみをもって返済されることとなっているものを除く。)等 |
10% |
〇地方公共団体金融機構向けの円建てのエクスポージャーのうち円建てで調達されたもの |
20% |
〇土地開発公社、地方住宅供給公社及び地方道路公社向けの円建てエクスポージャーのうち円建てで調達されたもの 〇金融機関及び銀行持株会社に対する円建てのエクスポージャーが円建てで調達されたものであって、かつ、当該主体が信用供与を受けた日から満期までの期間が3月以内である場合 等 |
金融庁のHP http://www.fsa.go.jp/policy/basel_ii/
日本銀行のHP https://www.boj.or.jp/finsys/intlact_fs/kisei/index.htm/